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この間NightOwl Carbonを購入したのだが、これの出来が非常に良かった。ヘッドホンに嵌りつつあるのか、比較用に何かもう一個欲しいなと言う気分になってきた。基本的には必要ないものなのだが・・・ 要求スペックは ・NightOwl Carbonと比べられそうなもの。 (価格で言うとNightOwl Carbonの初期価格と同じ10万前後のが良いのかな?) ・密閉型 (このあたりは現在の私の気分かな。自然な音だけを追求するなら開放型の方が良い。だから必ずしも密閉型でなくても良いのだが、ヘッドホンのメリットは遮音性・防音性でもあるので、ヘッドホンらしさと言う意味では密閉型かな。) ・無垢材を使っていないもの。できうる限り均質な素材を使っているもの。 (5万を超える価格帯になると無垢のハウジングを使ったヘッドホンも選択肢に入ってくるのだが、昔は無垢材が音質に与える影響なんて気にしていなかったし、むしろ無垢材だからって有り難がって使っていた。ところがオーディオボードを製作していて、無垢材の不均一性が少なからず音質や音色を悪化させていると言うことが分かってきた。無垢材は天然素材なので不均一性があり、振動特性が良くない。正確には比重が不均一で振動が流れていく方向をコントロールできない。だから無垢材よりもより均一なMDFの方が自然で音楽的な音が鳴らせる。これだけでなく、そもそも無垢材を使ってしまうと左右チャンネルが同一状態でなくなってしまうではないか。もちろん無垢材を使ったからと言って極端に音質が低下するわけではないし、「無垢のヘッドホンでも音が良いじゃないか」と言いたいのは分かる。音質劣化要素なんて他にもたくさんあるわけだから、無垢材を使ったヘッドホンが、使っていないヘッドホンよりも音が良いと言うのは普通にありうることだ。だけど私の中では「無垢材を使用している=音質劣化要素」なので目に見える音質劣化要素はできるだけ減らしておきたいのが人情というものだ。) ・両出しケーブルでリケーブルできるもの。 これらの条件から私が見つけたのはBeyerdynamic T5p 2nd Generationだったのだが、最終的にSHURE SRH1540を買うことにした。T5p 2ndは評判も価格も申し分ないのだが、何故か分からないのだがカタログ見て全く惹かれるものがない。Beyerdynamicとは相性が良くないのか昔から一回も買ったことないメーカーだ。個人的には評判が良いから買うのではなくて、買って面白そうかどうかが一番の購入基準なので。面白そうと感じたら評判気にしないで買います。Beyerdynamicのカタログ見て面白そうと感じなかったのは個人的な感想なのでBeyerdynamicが悪いと言うわけではないですよ。 SHURE SRH1540はamazonのレビューで評判が良かったから、射幸心を煽られたw それだけじゃ買おうと思わないんだけど、innerfidelityの周波数特性なんか眺めてたらすごく欲しくなってしまった。 innerfidelity.com_headphone-measurements Beyerdynamic T5p(2ndではない) AudioQuest NightOwl Sennheiser HD650 Sennheiser HD660S SHURE SRH1540 測定データで何が分かる?音は聴いてなんぼだと言うのは正論なんだけど、個人的には付帯音なんかのノイズ特性はある程度分かると思う。 測定データを見ると、例えばnightowlだと300Hz Square waveで矩形波に付随しているびよーんとしたノイズが少ないです。つまり振動板を急激に動かした時に生じる振動板の振動ノイズが少ないことを意味します。ところがインパルス特性ではインパルスを印加した後に細かく大き目なノイズが走るので、瞬間的に振動板をパンッと叩くと結構高い周波数のノイズが大量に出るのが分かります。そのせいなのか高域でのTHD+noise特性が良くないですね。また30Hz Square waveでも波形が崩れないので、ロングストロークの振動板と言うのが分かります。低域も下まですっと伸びています。また左右チャンネルのマッチングをきちんと取っているのも分かりますね。HD650と比べるとnightowlは低域の特性は明らかに優れていますが、高域の付帯音が多く高域特性はHD650に若干劣ると言うところでしょうか。あと周波数特性にも暴れがあります。 では、SRH1540はどうでしょうか?まず300Hz Square waveはnightowlほどではないですがそこそこ優秀です。びよーんノイズがHD650よりも少なくここはHD650よりも優秀です。HD650はびよーんノイズがデカめで収束も遅いです。SRH1540は30Hz Square waveでは波形が崩れていますが、これは振動板の振幅限界を超えているからでしょう。その関係か周波数特性も低域がだら下がりになるのですが、測定時よりも小さな音量で聞くなら恐らく問題ないと思います。HD650も低域がだら下がりですがHD650の低域の伸びがないと言う人はいないので。また左右のマッチングはnightowlほどではないですが、一応マッチングは取っている感じですね。許容誤差はどれくらいかは分かりませんが。あとはインパルス特性と高域でのTHD+noise特性、周波数特性はnightowlより優れています。特に周波数特性は密閉型とは思えないくらい自然な感じです。ER4SRに低音盛ったみたいな波形ですね。これらの測定データと評判を総合すると「このヘッドホンはかなり音が良いのではないか?」「NightOwlと割といい勝負をするんじゃないか?」と思えてきました。気になって気になって仕方がないw たとえT5p 2ndを買っても結局これが気になって買っちゃうだろうなってことで、SRH1540を購入することにしました。 NightOwl Carbonはエージングに時間が掛かるのかまだ記事は公開してないんだけど、もしSRH1540がNightOwl Carbonよりも音が良かったら、「やっぱり5.5万のSRH1540の方が音が良いねぇ!これと比べたらNightOwl Carbonは3.5万の音だわw」と評価を改めないといけないかも。でもそういう評価をしちゃうと「HD650は古き良き名機ではあるが、現在の基準ではもはや名機たりえる音質ではない」と言うことになっちゃうんだけどな。現状でもNightOwl CarbonはER4SRよりも音が良いと評価しているし、しかも僅差でなくて、解像度的にも音色的にも圧倒しているとは言えないけど結構差をつけて音が良いのよね。物理的に追及できる音質限界を考えると、これを超えるのは不可能じゃないけど、実際にやるとなれば結構難しいとは思う。でもSRH1540はスペック的には良い線行ってるから、NightOwl Carbonより音が良くてもそれはあり得なくはないかもね。そうでなくてもHD650よりも音が良ければコストパフォーマンスが良いヘッドホンだと評価するけどさ。
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2019/11/15 執筆
2019/11/16 公開
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